ICT技術で建設業界のイノベーターを目指す
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入社1年目から最前線で活躍できる
小松市の吉光組では、情報技術や独自の工法を積極的に採用し、一歩も二歩も先行く事業を展開しています。例えば、工事現場では、半径200mをミリ単位で一気に採寸する3Dレーザースキャナーや人工衛星を用いた測位システム(GNSS)を駆使したり、広範囲をドローンで測るなどの先進的な測量を実践。施工時には、コンピュータ制御によって緻密な作業が可能なICT建機を活用しています。
建設業というと、専門的な知識や技術がなければ難しいと考える人もいるでしょう。ある程度の年齢を重ねての中途採用となれば、なおさら就職へのハードルを感じる人もいるかもしれません。「必要な資格を取得するなど、スキルを高めていくことも当然大切です。ただ、当社では最新技術を取り入れることで、入社1年目からでも最前線で活躍できる環境を整えています」と、胸を張るのは同社の吉光成寛副社長。採用にあたっては、職歴や学歴などよりも、「やってみる事が重要です」と断言します。
そして、吉光副社長の言葉を裏付けるように、業界未経験から2021年6月に飛び込んだのが、同社資源開発部の酒入貴さんです。「入社からまだ1年もたっておらず、まだまだ悪戦苦闘する毎日です」と苦笑する酒入さんですが、既に車両系建設機械運転技能講習や小型移動式クレーン運転技能講習などのさまざまな資格を取得。自走式土質改良機「リテラ」を巧みに操作しながら、建設時などに出た土を用途に応じて改良するリサイクル事業に携わり、全国の現場で活躍しています。
風通しのよい社風で休日も充実
そんな酒入さんは、秋田県からのIターン組でもあります。生まれ育ったのは東京で、満員電車での通勤など人口の多い大都市圏での生活から離れたいと、大学卒業後に就職した証券会社では地方勤務を希望。富山県や愛媛県などで働いた後、秋田県に移り住み、製薬会社や不動産会社の営業職として勤めてきました。石川県への移住を考えたのは、金沢市在住の叔父からILACを紹介してもらったのがきっかけです。
「30代後半を迎え、心機一転、チャレンジしたい気持ちが強かったんです。そこで業界未経験でも歓迎していただいた吉光組に入社しました」
こう話す酒入さんは、いろいろな地域に居を構えた経験があったからか、初めて暮らす土地でも、生活面に不安はなかったと言います。とはいえ、あふれる意欲を武器に就職が決まったのはいいものの、入社前は初めてとなる建設業界での仕事に不安が高まっていったそうです。実際、入社から2カ月間は、先輩や取引先などが交わす専門用語が全く分からず、戸惑いの連続でした。
「それでも下を向くことなく、仕事と向き合えたのは風通しのいい職場だったから。分からないことがあれば、先輩たちに何でも聞くことができました。吉光副社長にも気にかけていただき、ご自宅におじゃまして夕ご飯をごちそうになる日もあります」(酒入さん)
休日に職場の同僚と出かけることも多く、「石川県はいい温泉がたくさんあります。それにおいしいものも多く、焼きガキを食べるために、この冬だけで3回も能登に行きました」と酒入さんは笑います。周囲のサポートを受けながら、仕事も生活も石川でのリスタートは順調のようです。
インフラ整備を核に事業を多角化。求める人材も幅広く
吉光組では今後も、優秀な人材の確保に余念がありません。その背景には、積極的な事業展開が挙げられます。同社ではインフラ整備を中核としながら、軸をずらすように事業を水平展開。現在では商業施設や一般住宅の建築なども幅広く手がけており、多彩なスキルを持った人材が活躍できる土壌が育まれています。
半面、全国の各地方が抱える過疎化や少子化などの影響もあり、地元工業高校の定員数がひと昔前に比べて半減するなど、足元だけを見た採用活動では限界があるのも事実です。「今後は、UIターン人材の確保により一層、力を注いでいきたい」(吉光副社長)とのことで、2022年4月にはILAC主催のUIターン合同企業説明会を通して大阪からIターン者の入社が決まっています。
ちなみに、同社では16年3月に新社屋を建設。大開口から自然光が注ぐモダンなデザインの社屋は「吉光ベース」とも呼ばれており、地元の方々を招き、さまざまなイベントを企画しています。「お世話になっている住民の皆さんの役に立ちたいとの一心で開催しています。地域にさらに活力を吹き込むためにも、地元からも県外からも豊富な人材を集め、事業の活性化にも今まで以上に全力を傾けていきます」と吉光副社長。1913年の創業から100年以上、CSR活動にも力を注ぎながら、地域とともに吉光組のチャレンジはこれからも続いていきます。