トップ 移住者インタビュー 農家になって得た、今までになかった生活スタイルと心のゆとり/金沢市・川端美希子さん

2019.03.24
金沢市

農家になって得た、今までになかった生活スタイルと心のゆとり/金沢市・川端美希子さん

れんこん農家になったきっかけ

金沢で、加賀れんこんを作っている川端美希子さんは「農事組合法人 蓮だより」の代表でもあるご主人の川端崇文さんと一緒に農業を営みながら、石川農業女子プロジェクトのメンバーとして活動しています。 川端さんの畑は、金沢の北部にある河北潟干拓地の一角にあり、1枚1500坪もある広大な畑が沢山並んでいて、一面に広がる空と、遠くに白山の山並みが望める自然豊かなところです。

川端さんは幼稚園で働いていて、農業とは全く無縁の生活をおくっていた中、突然ご主人から脱サラ・営農宣言を聞かされます。さすがに動揺を隠せなかったと当時を振り返ります。
「農業のことは全く分からないし、子供も産まれる時期でした。周囲からは反対され、経済的にも私が生活を支えないといけないのかもと思い、プレッシャーや不安でいっぱいでした。」
「機材を買う頭金もないし貯金もないから、主人が大好きな車を売って、保険も解約して、そのお金を頭金にした時に、あれ?本気なのかも知れない・・・」と思ったそうです。そんな真剣な思いと行動に、川端さんはご主人を応援しよう!と心に決めます。

人も自然も笑顔になれる野菜づくり

ご主人の熱い思いと勢いでスタートしたれんこん作り。まずは、JAの組合に入り、地元農家さんから栽培方法を学びました。
「当時は、まだ勤めに出ながら主人を手伝う程度でしたが、そもそも、初めてのれんこん作りは分からないことだらけで1年1年が本当に修行で・・・。日々試行錯誤しながら作り方や肥料のことなど、いろいろなことを勉強しました。」と川端さん。

ある日、基準の範囲内の農薬をまいたところ、一瞬でザリガニが浮いてくるという怖ろしい光景を目の当たりにした川端さん夫妻。それを見たご主人が「こんなの俺は食べたくないし、子供達にも絶対に食べさせたくない」と、この出来事をきっかけに農薬の使用をやめ、無農薬でれんこんを作り始めました。

川端さんは土づくりに力を入れて、農薬の代わりに唐辛子やにんにくなどを煮た液肥を使用するなど、自然の生き物や微生物と上手に付き合い、誰もが安心して食べることができるれんこんを作っています。

自分のペースで過ごせる生活スタイルと家族との時間

3人の子供達の母でもある川端さん。子供も大きくなって小学校に通うようになった頃。夏休みは家族に子供達を預けて勤めに出ていました。しかし、おばあちゃんひとりで3人の子供達をみるのは大変なこともあり、勤めていた幼稚園の仕事をやめることに決めました。

当時川端さんは、「私、仕事では人のお子さんを見ているけど、自分の子供のことは野放し状態なんですよね。それに勤めに出ていると、時間とか色んなことに縛られて子供にやってあげたいことが思うようにできない」 と感じていたそうです。

農業には決まった休みはありませんが、自分で時間の調整をする事ができます。また、以前と比べて家族と過ごす時間が増え、何かに縛られることもなくなりました。今までになかった生活のスタイルに、農家って思ってた以上に良いかも!と思うようになり、農家になって自分のペースで暮らせるようになったことで、心にゆとりが生まれたそうです。

「主人は今好きなことやってすごくイキイキしてるし、それをサポートしつつ私も色んなことができる。私自身も農業を始めてからイキイキしていると思います。」と笑顔で話す川端さんの表情からは、毎日が楽しく充実しているのがすごく伝わってきました。川端さん夫妻と蓮だよりのみなさんの手によって、やさしい味がするれんこんがここ金沢市でつくられています。