トップ 移住者インタビュー 調和の中に育む持続のサイクル。石川の酪農「株式会社Harmony with」

2018.03.16

調和の中に育む持続のサイクル。石川の酪農「株式会社Harmony with」

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石川県河北潟での酪農のはじまり

石川県中部にある河北潟(かほくがた)では、1963年(昭和38年)から22年後の1985年(昭和60年)まで、干拓事業が行われました。当初この地で、新田を整備することを目的にはじまった干拓事業でしたが、減反政策のため整備の済んだ土地に、畜産農業などを迎え入れたことが、この地での酪農のはじまりとなりました。

「今このあたりには、12組ほど酪農家がいますが、1981年(昭和56年)に、ここに来た当時は20組ほどいたんですよ。」と教えてくれたのは、酪農家だったお父さんから仕事を引き継ぎ、内灘町湖西で酪農を営む、株式会社Harmony with代表取締役の澤田真さん。

「父がこの仕事をしていたので、小さいときから手伝いをしていました。牛舎で遊んだりしていた延長で、牛の世話などしていました。兄がいますが、牛があまり好きじゃなかったようで、弟の私がそういうことをよくするほうでした。」

澤田さんは、農業短大を卒業後、北海道へ酪農の実習に行き、学び、家業の酪農を行っています。

恵まれた土地と環境

河北潟干拓地は、40万人ほどが生活する金沢市街地です。つまり消費地にも近く、この酪農地帯は一歩入ると牛の飼料を自給できる、広大な牧草地が広がる恵まれた環境なのです。

しかし、干拓地に突然牛たちが来たことで起こる、牛たちのニオイなどの環境変化に、しばらく近隣住民のみなさんは、対応できなかったそうです。また、酪農家の中にも、設備投資にかかった資金の返済がうまく進まず、牧場を閉鎖するところも少なくありませんでした。

それから徐々に、内灘町での酪農を受け入れる対策が進められ、牛の糞尿などを処理する施設や、住民の理解、環境を整えていったことで、現在では石川県の牛乳生産量の約半分を担う産業となり、その品質の高さからブランドとして育ちつつあります。

石川県には、自給飼料など持続が可能となる恵まれた土地があります。生活に密着し、食べるということに欠かせない牛乳などの乳製品、それを生産する「酪農」という仕事の価値をもっと知ってほしいと澤田さんは考えています。

美しいハーモニーを目指して

株式会社Harmony withという社名には、この地で「人との調和・牛や自然との調和・地域との調和を大切にして、持続可能なサイクルを」という願いが込められています。

牛の飼料を自給することや、牛へのストレスが少ない飼育方法で育てること。そして、おいしい牛乳をつくり、直接消費者の元へ届けること。しっかり利益も求め、さらに、喜びがずっと循環していくようにと考えられた、優しくどっしりとした強い想いです。

この仕事を通しての一番の喜びは、牛乳を届けて、飲んだ人が喜んでくれるのを見ること。しかし、今の牛乳の共販システムでは、直接的な交流や、生産者の顔が見えるような販売をすることはあまりありません。

酪農家として、牛乳を生産するだけではなく、販売も自ら行いたいと考えていた澤田さんの新しいチャレンジの1つが、アイスクリームの製造販売です。アイスクリームは、内灘の道の駅「サンセットパーク」などで購入することができます。こうしたチャレンジによって、お客様との交流が増えたことは、なにより代えがたいものがあると、澤田さんは感じています。

澤田さんは、これからもずっと地域で続けていける産業にするために、畜産・酪農に興味を持っている学生さんたちとの交流コミュニティの理事も務め、酪農という仕事の価値を、共有し、高め合えるような、技術を持った若者を育てることにも尽力しています。

牛乳の生産地としての河北潟ブランドを、広めていくのが澤田さんの目標です。この土地と牛、地域との調和と交流を大切にする澤田さんの想いに触れたことで、河北潟の酪農に注目していきたいという期待が高まります。