トップ 移住者インタビュー 素材の旨みが生きる、石川県唯一のシャルキュトリー

2017.01.07

素材の旨みが生きる、石川県唯一のシャルキュトリー

フランスの食文化が生んだ肉加工品の調理技法

洋菓子職人のパティシエ、チョコレート職人のショコラティエは日本でも浸透してきていますが、『加工肉職人のシャルキュティエ』はあまり浸透していません。シャルキュティエは主に豚肉を原料とし、時には鴨やジビエも使用することもある『お肉加工のスペシャリスト』です。材料は塊肉、ひき肉、内臓および血。製法は非加熱、加熱、発酵・熟成、燻製…と組み合わせの数が無限に広がります。
シャルキュティエがつくった加工肉を販売する店のことを『シャルキュトリー』と呼び、店頭にはハム、ソーセージ、パテなど、職人手作りならではの味わい深い商品が並びます。2013年に石川県能美市にて、県内唯一のシャルキュトリー『ガリビエ』をオープンした竹友 雄三さん。元々は料理人を目指して修行の日々だったそうです。

フランス料理の修行で知った加工肉の魅力

広島県出身の竹友さんは、若い頃よりフランス料理人として修行を積んでいました。広島県、石川県、フランス、岐阜県と修行して回りましたが、最終的な目標は大きく路線変更することとなりました。

「フランスでは料理(レストラン)と加工肉(シャトルキュリー)は分業しており、本来は別の仕事なのですが、私はレストランで働きながら定休日やバカンスの際に、知り合いのシャトルキュリーで研修させてもらっていました。フランス料理人が『一つ星の獲得を目指す華やかな世界』だとしたら、シャルキュティエは『地道な職人の世界』です。

シャルキュトリーは肉の保存性を高める為の技術でしたが、肉の旨味を引き出すことが分かり、その手法が磨かれてきました。1,000年以上の歴史の中で450種類ものバリエーションが生まれています。この肉の旨みをじっくり引き出すこの仕事は、私の性に合っていたのでしょうね。作るごとに魅了されていき、いつしか私の夢はフランス料理店を持つことではなく、シャルキュトリーを持つことへと変わっていました。」

シャルキュトリーに理想的だった石川県能美市

「シャルキュトリーはかなりのスモークの煙が出るので、周囲に何もないところが望ましく、さらには今までにない新しい店を受け入れてくれるような、地域住民が温かい地域でなければなりません。

その点、石川県の文化は素晴らしいですね。一言で言えば温故知新の精神が根付いています。過去の知識・文化も大切にしつつ、新しい知識・文化にも積極的なので、石川県であればシャルキュトリーがやっていけそうだと感じました。

加賀方面か能登方面かで迷いましたが、福井の人も来やすく、市街地から車で30分ほどで来れる距離にある加賀方面の能美市に決めました。競合となりそうな大手商業施設もなく、いしかわ動物園が近かったのも決め手ですね。ぜひ動物園で遊んだ帰りに寄ってもらいたい。やはり子どもにも食べてもらいたかったので、深く考えるほど理想的な営業場所でした。」

思いがけぬオープン早々の盛況

「2013年4月に能美市に移住してきました。能美市がシャルキュトリーの開店に合わせて作っていただいた定住促進制度『能美市ワーク・イン・レジデンス制度』を利用し(交流人口の拡大や地域コミュニティの活性化を目的にクリエイティブな活動をおこなう移住者等の起業を支援する制度。職住一体型で住居と工房、カフェ、コミュニティビジネス等の起業をおこなう方の住居等の改修、取得等に係る費用が補助される)こちらの第一号として応援していただいた為、予想よりも大幅に早く5月にオープンする運びとなりました。

オープンしてすぐにお客さんが来ることもないだろうと思い、ゆっくり準備を始めるつもりでしたが、嬉しい誤算で最初から盛況でした。石川県の方は『食に関してのアンテナ』を張られている方が多く、facebookなどの拡散だけでも、他県では考えられないほどの反響があったのです。

また、能美市は2017年の全国住み良さランキングでも9位なのですが、生活の全てが良い土地ですね。保育園や子育て支援に関しても能美市は充実しています。これからもこの土地で、たいせつに育てられた地元産の素材を中心に、ひとつひとつの素材の命や生産者の思いを感じていただけるような製品を作り続けていきたいと思います。」

ヒト・モノ・カネは生活する上で重要なことですが、行政が市民を想い、市民が地域を想い、能美市の生活を潤い豊かなものにしており、『ヒトに恵まれている地域』であることを実感しました。恵まれたヒトの元には自然とヒトが集まり、これは全国ランキングにも入る住みよい街になっていく秘訣の一つなのだと感じました。