トップ 移住者インタビュー 10年、20年後に外で子供たちの遊び声が聞こえる地域・環境であってほしい

2017.06.18
金沢市

10年、20年後に外で子供たちの遊び声が聞こえる地域・環境であってほしい

  • #コミュニティ

「自分たちの足元の魅力とは何か」を気づくところから

金沢温泉郷(湯涌、犀川峡、曲水、深谷の4温泉)を代表する湯涌。金沢市街地から車で20分ほどの近距離にあり、自然豊かな環境に恵まれた地域です。しかしここ湯涌でも、日本各地に見られる負のスパイラル『人口減少』が現れ始めました。そんな湯涌の課題を共有する為「花咲く湯涌まちづくりネットワーク」を5年前の2012年に設立し、そのリーダーを務める北 幹夫さんにお話を伺いました。

「地域を活性化したいとプロジェクトチームを結成したのはいいものの、最初は何を行えばいいのか見えていませんでした。講師を招き、婦人会や公民館でワークショップを行い、まずは『地元の資源は何があるか』を改めて理解するところから始めました。川遊びができる、蛍が沢山いる、歩ける山道がある。など様々な意見が出てくる中で、今まで当たり前と気にとめていなかった湯涌の魅力を再認識することができました。その結果、活動の一年目は『イベント』を主に行うこととなりました。バーベキューや蕎麦植え、軽トラック市やホタルを増やすイベントなど、市の支援もあり多くのイベントを行いました。」

定住・移住者を考え始めたのは二年目から

「一年目のイベントで地域の活性化はされたものの、根本的な人口減少の歯止めにはならなかったのです。その為、二年目は定住・移住を意識してイベントを行いました。湯涌を題材にした『花咲くいろは』というアニメが放送され、2013年には劇場版が公開されたので、アニメの影響で湯涌に足を運んでくれる方が増えました。これを機に定住・移住に繋げようとイベントを行なったのですが、これは大失敗でした。そもそも来る目的が違うので、何万人という『花咲くいろは』のファンが湯涌に訪れても移住には繋がらなかったのです。」

「この失敗を経て再度原点に戻り、地域資源を利用した春夏秋冬の体験型のイベントを行うことにしました。三年目の春には湯涌のイベント『青葉の湯涌お楽しみ市』と合わせて、山道を一緒に歩くイベントを行いましたところ、定員30人をはるかに超える応募をいただきました。薬草の先生を講師に招き、山菜の採り方などを指導してもらいました。」

夏には川遊びを楽しんでもらおうと、川に岩魚を放して掴み取りイベントを行いました。ジャガイモの収穫なども一緒に行い、最後には持ち帰ってバーベキューを行いました。

秋には金沢湯涌江戸村とタイアップして、そば打ち体験や加賀友禅の実演、里山の味覚を体験するイベントを行いました。

冬には氷室の雪詰め(江戸時代から続く伝統的な天然の冷蔵庫を作る作業)の際にスノーシューを履いて山歩き行い、最後には皆でぜんざいを食べるイベントを行いました。

何もしていなければ移住者は0だった

「様々なイベントを行い湯涌に興味を持っていただく方が増えた中で、一つ大きな問題がありました。湯涌は『市街化調整区域』なのです。開発行為はもちろん、都市施設の整備も原則としてできません。つまり新たな家を建てることに制限があるのです。現在建物が建っている土地で建て替える形なら可能ですが、田畑の土地に宅地をつくる事が難しいのです。こちらの問題には『空き家』という手段を用いました。三年目に町会長と協力し空き家調査を行い、所有者の方から許可をいただき不動産屋のホームページに掲載していきました。

私達からすると都心の綺麗な住居とは違い、囲炉裏のあるような古い住居で不安があったのですが、丸2年でほぼ全ての物件が決まりました。20代30代の子育て世代の方がほとんどであり、土地代も安く金沢の市街地から20分ほどの場所の住まいは子育て世代のコンセプトに合ったようです。現時点で6件(11名)の方が移住されていますが、現在進行中の方を含めれば13件(27名)の方が移住されることになります。何も行動を起こさなければ移住者が0名だったと思うと、正直恐ろしいです。活動が始まった当初は『できるんかいや』と周囲の冷ややかな意見もありましたが、信じて一歩踏み出して歩き出した事が結果に繋がり、自分自身にも新たな地域のあり方を再発見でき、これから進む道の確信に繋がりました。」

2年前に湯涌が『第33回地域づくり団体全国研修交流会石川大会』の会場に選ばれ、下見の為に三重県や熊本県まで出向いた北さん。他県で地域づくりの活動している同士に出会い、地域の魅力発信にさらなる意欲を燃やしました。今年は金沢市地域おこし協力隊と協力し、お土産部などまちづくりを考える7チームを編成。大麦でビールを作る活動等もおこなっているそうです。これからも湯涌から発信されるまちづくりに目が離せません。