トップ 移住者インタビュー 「金沢のためなら全力で」という気持ち

2016.11.07
金沢市

「金沢のためなら全力で」という気持ち

「金沢が好き」という気持ちがすべての原点

大学進学を機に金沢で暮らすことになり、在学中は行政と学生が協力して町おこしに取り組む活動に参加しているのは、ライフスタイル代表須貝友貴さん。その活動を通じ、金沢には自分のまちを大切に思っている方々がとても多いことを知り、また地元の方々との交流を通じて、須貝さん自身もこのまちと人が好きになりました。卒業を控えるころには、自分自身もまちのために何かをしたいと思うようになり、そのまま留まる決心をしました。

大学卒業後1年間は金沢市役所に非常勤で勤務し、町おこしに本格的に取り組むための準備を進めました。現在は、金沢の中心地から車で20分ほどの里山に事務所兼自宅を構え、町おこしや移住促進につながるさまざまな活動を展開しています。

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集落の一角にあり、もともとは地域の集会場だった。2階が事務所兼自宅、1階はポンプ車(消防車)の車庫

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友人がデザインしてくれたライフスタイルの名刺。金沢の「金」と移住を象徴する「家」の屋根がモチーフになっている

移住前に現地での生活を体験できる「試住」と出会う

須貝さんが市役所に在職中に出会ったのが、鎌倉を中心に展開し、移住に対する新たな試みとして注目を集める「試住※」というシステムです。これは、洋服を買うときは試着でき、車を購入するときには試乗できるのに、大きな決断である住まいに対してはなぜ試すことができないのか、という考え方から始まった事業です。
具体的には、賃貸売買物件の空き期間を活用し、一定の期間住んでみてから契約するかどうかを決めることができる今までにないシステム。その考え方に共感し、いずれはここでも実現することが須貝さん夢。

「個人的には、試住を通して金沢を自分のまちとして体感し、この町が好きになった方に移住してほしいですね。それが、将来的にその地域にとっていい方向に動いてくれると思います。」と話す須貝さんが、学生と町おこしの活動をする理由は、金沢は「学都」と呼ばれるほど学校が多く学生も多いことがあります。大学生の間に金沢のことを知り、自分が暮らすまちを好きになってもらいたい。そういう経験をすることで、たとえ一度は金沢を離れることがあっても、何かのきっかけに戻ってくることもあると考えています。

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同世代の若者が夢中になれる町おこしで金沢の魅力を発信したい(事務所にて)

※試住/microstay株式会社(鎌倉市)が提供

「おもしろそう」「やってみたい」と思わせる町おこしを

須貝さんは市街地の活動として、江戸時代に藩が城の防御のために寺を集めた寺町というエリアで、寺町台寺活協議会の方々と活動しています。これは、お寺を、地域の若者たちのコミュニティースペースに戻そうという試みで、たとえば、学生のアイディアで処理に困っていた境内の落ち葉を集めて焼き芋を作り、それを提供するなど、提供する側もされる側も喜んでもらえる内容です。

湯涌を中心とした活動では、畑を借りて学生と一緒に農作物を作ったり、地元でつくられた米を流通させたりしています。さらに、地元の農家がイノシシの被害に遭っていることを知り、須貝さんは一緒に活動しているメンバーと狩猟免許をとりました。イノシシ被害を防ぐと同時に、ジビエとしてビジネスにつなげたいと思っています。事務所で活動した後は、車で5、6分の湯涌温泉に行って温泉に入るのが恒例となっています。

最終的な目的は移住促進ですが、その前の過程として、地域の課題解決を若い人たちが「おもしろそう」「やってみたい」と思える方法で続けていきたいと考えています。

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まちに残る社寺をコミュニティとして復活させる活動を展開

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地域と若者の架け橋として奮闘している

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湯涌温泉は、718年に発見された歴史ある温泉。藩政時代には加賀藩の歴代藩主が愛用した。美人画で知られる竹久夢二が逗留したことでも知られる

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寺町寺院群/江戸時代に一向一揆の対策として、加賀藩が各地の寺院を集めて形成した寺院群。由緒ある寺院が集まる。境内の落ち葉でつくった焼き芋は金沢マラソンで提供された

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金沢のまち/金沢のまちは、新しいものと古いものがバランスよく調和し、ちょうどいい狭さが魅力。学生時代はよくまち歩きを楽しんだ(写真は金沢駅)