トップ 移住者インタビュー 自分たちのペースで心地よく暮らす

2016.11.07
七尾市

自分たちのペースで心地よく暮らす

農業と自然の中での暮らしに憧れて移住

七尾市能登島に暮らす、かきたファームの垣田雅彦さん・美絵さんは、結婚前から近所に住んでいましたが知り合ったのは20歳前後。その頃からふたりとも自然が好きで、いつか農業をしたいという夢を持っていました。偶然、美絵さんのお兄さんが先に能登島に移住し、農業を中心とした野外体験施設の管理をしていたことから、農場のスタッフとして京都から能登島に移住することにしました。

移住前に京都の役場で紹介してもらった農家研修の経験はあったものの、農業に関してはほぼ素人でした。でも身内がいるという安心感と、憧れていた農業に従事できるという嬉しさで、特に躊躇することもありませんでした。美絵さんのお兄さんが管理を任されていた農場は、無農薬有機栽培で野菜をつくっており、それを手伝うことに。3年後にこれまでの農場を借りる形で独立してからも、その農法を変えることなく野菜づくりをしています。

垣田さんが無農薬有機栽培をしているのは、特にこだわっているわけではなく、それしか経験していないから。毎日が雑草や石ころとの格闘で、40~50種類の種をまいてもそのすべてが収穫に結びつくわけではありません。それでも、今のペースが自分達にちょうどいいと思えるし、これからも変えるつもりはありません。と話してくれました。

horita04
ハウス内のレタス。能登の赤土は野菜栽培が難しいが、その分おいしい野菜をつくることができる

horita07
次に蒔く種を準備。自然が相手の仕事だけに思い通りに行かないことも多々あるが、それもまた農業の魅力だと語る

休日にはドライブを兼ねて遠出を楽しむことも

移住直後は能登島の定住促進住宅に入居し、2013年に能登島内で中古の住宅を購入した垣田さん。農場までは車で5分と近く、都会にいたころのような、通勤のわずらわしさを感じることもありません。ここでの暮らしは、四季を感じながら自分たちのペースで過ごすことができます。喧噪とは無縁の穏やかな生活ですが、夏は都会から小学生の子どもたちが収穫体験に来て、とても賑やかです。訪れた子どもたちはまず、能登島の雄大な自然環境にびっくりするそうです。

ふだんは静かな暮らしに心地よさを感じていますが、ときどき賑やかな場所が恋しくなったら、車で出かけることにしているそうです。能越自動車道が開通してからは富山県の高岡まで30~40分で行けるようになったので、大型の量販店で買い物をしたり、外食を楽しんだりできます。
奥能登と金沢を結ぶ「のと里山海道」の通行が無料になったことから、ドライブを兼ねて金沢にいくことも増え、特に生活に不便を感じることはないそうです。県外から友人が遊びに来た時に「のとじま水族館」や「能登島ガラス美術館」など、島内の観光名所に案内すると、喜んでもらえます。

horita05
「もはやペットです(美絵さん)」というヤギ。農地の雑草を食べさせる目的で飼いはじめたが、雑草よりもおいしい野菜から食べてしまうそう

horita06
毎日自宅から愛犬と一緒に出勤。夫妻と一緒に農場で過ごす

イルカが泳ぐ海

収穫した野菜は、主に穴水町のスーパーマーケット「どんたく穴水店」に直接卸しています。毎朝、収穫した野菜を積んで、七尾湾に架かる「ツインブリッジのと」を渡り、海沿いの道を走って穴水方面へ向かうのですが、時々群れで泳ぐイルカの姿を目にすることができます。
「朝焼けでオレンジ色に染まる海とイルカの光景は、何度見てもテンションが上がります。夜は空一面に星がまたたき、それもまた感動的な美しさです。このような美しい自然の中で、自分たちの夢だった農業ができる、そんな今の暮らしには充分満足しています。」と垣田さんは話してくれました。

horita08
能登島と七尾市中島町を結ぶ「ツインブリッジのと」。全長620mの橋からは七尾湾に浮かぶ島々を眺められる

horita02
北陸有数の人気レジャースポット「のとじま水族館」。年間を通じて多くの来館者で賑わう

horita01
見晴らしのいい丘の上に立つ石川県能登島ガラス美術館。ピカソをはじめ、有名な芸術家の原案をもとにしたガラス彫刻を展示。