トップ 移住者インタビュー 夢を形に、カレー店を開業スパイス仕立ての地域おこし

2025.11.20
金沢市

夢を形に、カレー店を開業スパイス仕立ての地域おこし

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カレーハウスやまねこ亭店長
山部 裕太さん

北の大地・北海道から、カレーを愛する青年が金沢市に移り住みました。地域おこし協力隊として活動しながら、念願の自分の店を開くまでの道のりを聞きました。

全国的な激戦区で勝負

「本当にこのままでいいのだろうか」――。札幌の銀行で働いていた山部裕太さんは、30歳を目前にそう自問することが増えました。銀行員を続ければ安定は得られる。しかし心の奥では、「一度きりの人生だから、趣味のカレーづくりを仕事にしたい」という思いがくすぶっていました。
 山部さんは「カレー店を開くならどこがいいだろう」と想像を巡らせる中で、金沢に興味を抱くようになりました。好きなアニメ『花咲くいろは』の舞台であることや、豊かな歴史と文化があることも要因でしたが、何より、「金沢カレー」という独自の食文化があることに引かれました。「そんなまちで自分のカレーが認められれば自信になると思った」と振り返ります。

 金沢の実情をより深く知ろうと、2021年4月にILACのオンライン面談を利用しました。以降、相談を重ねる中で「地域おこし協力隊」に関心を抱くようになりました。
 地域おこし協力隊は、人口減少や高齢化に悩むエリアに住み込み、活性化に取り組む国の制度です。活動期間は最長3年で、給与や住居支援も受けられます。「最も魅力を感じたのは、地元の人と深くつながれる点でした」と山部さん。
 妻の徳子さんにも背中を押され、同年6月に夫婦で初めて金沢へ下見に訪れました。現役隊員や山間部の住民とも交流し、「自然豊かな環境と金沢の方言に宿る温かみに触れ、この地域の力になりながら、カレー店開店の夢を追いかけてみたいと思いました」と話します。

妻の徳子さんと店を盛り立てています

面接の「特訓」受け挑戦

人生を懸けた一歩を踏み出すにあたり、山部さんは銀行に退職の意向を伝えて退路を断ち、ILACからの面接アドバイスを何度も受けて挑戦しました。「無事に採用されたのは、あの特訓のおかげです」と笑います。


 22年3月に徳子さんとともに移住し、翌4月には市内犀川地区の隊員に就任した山部さんは、「カレーで地域おこし」をテーマに活動しました。その一つが、地域の集会所で開催したカレー専門の子ども食堂です。この子ども食堂は、人と人をつなぐ場所として定着し、現在は地元住民に運営が引き継がれています。山部さんは、多種多様なスパイスを調和させて絶品のカレーを作り上げるように、住民の交流や親睦の場を積極的に設けることで、地域の魅力を高める役割を果たしてきました。

協力隊の活動の一環でカレー教室を開催


 そして23年3月、隊員を務めながら、焼肉店を間借りする形で「カレーハウスやまねこ亭」をオープンしました。メインメニューは、故郷の北海道で人気の「パキスタン風無水チキンカレー」。素材には地元農家の野菜などを積極的に使っており、金沢市民の心をしっかりとつかんでいます。


 25年3月に隊員の任期を終えた後は、徳子さんと二人三脚で本格的な店づくりに取り組んでいます。「応援してくれた皆さんに恩返しする意味でも、長く愛される店にしていきたい」と力を込めます。

子ども食堂は老若男女が集う場です

いしかわ移住のホントのところ

山部さんに「移住前」と「移住後」のお財布事情や、1日の過ごし方を振り返っていただきました。さらに、定住に至るまでの経緯を時系列でご紹介します。リアルな体験談をぜひ参考にしてください。

お財布事情

協力隊任期中と卒隊後の支援が夢実現への足がかりに

地域おこし協力隊の任期中は、銀行員時代より収入が減り、夜のアルバイトや妻のパート収入を合わせて生活していました。そんな中でも、協力隊時の家賃補助や卒隊後の企業支援金といったサポートがあったことで、起業準備を進めることができました。

1日の過ごし方

通勤時間が減り、ストレスから解放

協力隊となったことで、サラリーマン時代のような通勤や時間高速のストレスから解放されました。ただ、将来のカレー屋起業に向けての準備もあり、余暇は少なかったです(「3年後には自立しなければならない」というプレッシャーは常にありました。)

移住までのスケジュール

移住者へのメッセージ

移住は大きな決断で、乗り越えるべきことも多くあります。だからハートを熱く持ってほしいんです!下見の際は観光地や中心街だけでなく、広い視野で地域を見て、可能であれば住んでいる人と話し、暮らしのイメージを具体的に描くことをお勧めします。

石川県に来た際は、カレーハウスやまねこへ、ぜひお越しください♪