トップ 移住者インタビュー 能登と金沢をつなぐ存在になりたい!自分たちのペースで、心豊かな島暮らしを実現する

2016.10.18
七尾市

能登と金沢をつなぐ存在になりたい!自分たちのペースで、心豊かな島暮らしを実現する

海が見える能登島の古民家に一家四人で移住

七尾市能登島町に移住した有永浩太さん、史歩さん夫妻の住む家は、もともと大阪で画家をしていた叔母が所有していたもの。叔母は、景色のきれいなところで絵を描きたいと、全国をまわってここを選んだそうです。

有永さんが能登島に引っ越してきたのは、実は2度目です。最初の引っ越しは、叔母が亡くなり、この家を引き継いだ2009年で、それ以前はガラスの原料が採れる新島(東京都)のガラス工房に勤めていました。約1年4カ月能登で暮らしたあと、金沢市内にある伝統工芸継承を目的とした「金沢卯辰山工芸工房」のガラス工房で専門員をすることになり、金沢へ移りました。そして2016年、能登島で自分の工房を構えようと、再び能登に戻ってくることになりました。

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眼前に海が広がる自宅の縁側。毎朝ここでコーヒーを飲み、互いのスケジュールを確認して1日が始まる

昔ながらのご近所づきあいができるところ

史歩さんは、福島市で生まれ、地元でOL、ニューヨークへの留学を経て、主人と出会い、結婚後に新島で新生活をスタートすることに。新島で暮らしていたころに能登島を訪れたときには「すてきなところだな」とは思いましたが、まさか後にここに住むことになるとは思ってもみなかったとか。

もともと人とふれあうのが好きで、カフェをやってみたいと真剣に考えてた時に、ご縁があり、通っていたカフェの定休日を間借りして約1年Shiho cafeをスタート。その後、自宅近くの町屋物件を紹介いただき、主人のガラスギャラリーを兼ねたカフェをオープンすることができました。

古い町家に自分たちで手を入れ、カフェではヨガや私自身が以前から興味を持っていた陶器の修理技法「金継ぎ」の教室も開いています。金沢では、2人の子どもの子育て面でご近所の方たちに本当に助けていただきました。とくに小学校に通う長女は、放課後、近所の祖父母世代のご夫婦のお宅にお邪魔することもしばしばで、まるで実家のように甘えさせていただきました。金沢はそういった昔ながらのコミュニティがしっかり残っているまちだと感じています。

2016年の春から能登へ居を移しましたが、カフェは人と人をつなぐコミュニケーションの場、主人のガラス作品発表の場、能登の魅力を発信する場として続ける予定です。能登と金沢を往復する二地域住居になりますが、自分達のペースで暮らしのリズムをつくっていきたいと思っています。何より石川県は、金沢も能登も食べるものがすごくおいしい。食べるのが好きな人は移住にぴったりです、と笑います。

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東山で史歩さんがオーナーを務める「Shiho cafe」。 東茶屋街のメインストリートからやや離れた静かな場所に佇む

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カフェの中にはあちこちに浩太さんのガラス作品がセンス良くディスプレイされている

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長野県上田市の有名店「ルヴァン」から取り寄せるパンの販売、丁寧に淹れたコーヒーやルヴァンレシピでつくる玄米を使ったキッシュが人気メニュー

訪れた人が居心地よく過ごせる場所に

金沢で暮らしていたころも毎年能登島で行われているクラフトイベント「のとじま手まつり」に実行委員として携り、行き来していたので、引っ越してきたというより「戻ってきた」という感覚ですね。ご近所の方々も「おかえり」と迎えてくれました。
今は住まいをガラス工房としても使えるように自分たちで改装中です。この家には叔母の蔵書だった本がたくさん残されています。ゆくゆくは、ここを訪れた人が、ガラス作品を見たり、海の見える縁側で本を読んで過ごせる居心地のいい場所にしたいと思っています。

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住居のすぐ前には穏やかな海が広がる。冬でもほとんど荒れることがない

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夫妻の住まいのすぐ近くにある「石川県能登島ガラス美術館」。ピカソやシャガールなどの作品をもとにしたガラス彫刻を展示

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海辺に広大な芝生広場が広がる「のとじま家族旅行村Weランド」。今年から浩太さんが実行委員長をつとめるイベント「のとじま手まつり」の会場でもある