トップ 移住者インタビュー Iターン就職の女性3人がものづくり企業で活躍中

2022.03.25
川北町

Iターン就職の女性3人がものづくり企業で活躍中

コンクリート2次製品の型枠で全国シェア

人口減少社会に突入した今、これまで以上に女性の進出が求められる時代になっています。石川県は、「保育所の待機児童数ゼロ」「産休・育休など制度の充実した企業が多い」など、子育てしながら働きやすい環境が整っており、共働き世帯の比率が56.1%(全国平均48.8%)と全国第4位になっています(総務省/2017年就業構造基本調査)。女性の活躍が進むのは、ひと昔前まで男性の職場と思われてきた製造業も同じです。

福井鉄工所(川北町)もそんな企業の一つ。同社は、カルバート(暗きょ)などコンクリート2次製品の型枠製造で国内トップクラスのシェアを誇っています。ほかにも、車両や各種機械の部品を製造する板金部門、集中豪雨やゲリラ豪雨に対応する防水板部門など、高い技術力を武器にものづくり業界で飛躍を続けています。しかし、全国規模で事業を展開する同社であっても、採用活動では苦戦が続いていたと言います。

「当社の事業は100%が企業相手のB to Bで、一般の方への認知度不足は否めませんでした」

こう語るのは、同社で採用活動を担う総務経理課課長の中田耕二さんです。一人でも多くの人に福井鉄工所を知ってもらいたいとの思いからILACを活用した採用にも力を注いでおり、18年からはUIターン合同企業説明会に参加。積極的な募集を通して、現在(22年3月)までにIターンで3人の女性が就職しました。

 

 

夕日の美しさが移住の決め手に

福井鉄工所で新たな一歩を踏み出したのは、技術部の南絵吏さん(2020年5月入社、富山県から移住)、板金営業部の西村千穂さん(21年11月入社、兵庫県から移住)、IT課の荒城悠佳さん(22年1月入社、東京都から移住)。もちろん、入社動機やIターンのきっかけは三人三様です。

南さんは県内在住の男性との結婚を機に石川県へ。以前は保育士として働いていましたが、「生活が変わるのを境に、新しい業界にチャレンジしたい」と福井鉄工所に入社しました。西村さんも学生時代から付き合っている恋人が加賀市で働くことになり、Iターンを決意しました。「私の場合は、前職がアルミ非鉄金属部品メーカーの事務職で、その経験を生かしたいと思い、福井鉄工所を選びました」(西村さん)

対して、荒城さんは石川とゆかりがあったわけではなく、パートナーとともに地方への移住を計画する中で石川県が候補地に上がりました。「決め手は海岸から見た夕日でした。オレンジ色に海を染めながら沈んでいく光景が、言葉にならないくらい美しかったのです。石川県の人たちの温かさも、Iターンを決めた理由の一つですね」と荒城さん。

西村さんと荒城さんは移住してからまだ日は浅いものの、石川の暮らしやすさも実感しているようです。「東京に比べて家賃は2万5000円も安くなり、部屋は一つ増えました」(荒城さん)、「魚もお米も水もおいしい。渋滞もあまりなく、通勤時などの移動にストレスもありません」(西村さん)と教えてくれました。

 

アットホームな職場環境も3人を後押し

仕事に関して聞いてみると、「まだまだ学ぶことばかりです」と口をそろえる3人ですが、1日1日、着実に成長しているのも確かです。彼女たちのステップアップを後押しするポイントの一つは、福井鉄工所のアットホームな社風にあります。社内の男性陣は、シャイに思われがちですが、少し時間がたてばとてもフランクな人が多いのだとか。さらに、「同性同士の方が話しやすいこともあるでしょう。地域の細かな情報など、課内の女性社員には、ちょっとしたことでも気にかけてあげるように話しています」(中田課長)とのことで、安心して働き、生活できる環境づくりをサポートしています。「CADを使って設計するなど、知識も技術もゼロからのスタートでしたが、社内の皆さんのおかげで充実した仕事ができています」と南さんが話すなど、3人ともIターン生活は順調なスタートとなったようです。

加えて、女性社員が活躍することで、社内にもいい影響が現れています。「女性陣はコミュニケーションをとるのが上手。部署の垣根を越えてつながりが深まり、会社全体の雰囲気が明るくなったように感じます」と中田さん。

福井鉄工所ではこれからも、営業や事務、製造など部署に関係なく、どんどん女性の採用を増やしていく計画です。並行して、生産効率の向上と、育休・産休や介護休暇といった時代に合わせた制度の充実などにも力を注ぎ、性別や年齢に関係なく働きやすい職場づくりにも取り組んでいきます。

「製造業はどんどん変わっていきます。ILACさんにはこれからも、有望な人材をどんどん紹介していただきたいですね。また、UIターンに関する豊富なノウハウを生かし、会社の枠を越えて移住者が集まるコミュニティを整備するなど、入社後のフォローも期待しています」(中田課長)。福井鉄工所では、社内外のネットワークを積極的に生かしながら、働く人みんなが幸せになる会社づくりに向けて知恵を絞っています。