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石川に魅せられて、“人”の縁から今がある

エクアドルから、ゆかりのなかった「金沢」へ


昨年から石川県金沢市で暮らし始めた遠藤由貴さんは、かわいらしい笑顔の裏に強い信念を持っていることを、感じさせるような女性でした。
由貴さんは鳥取県の出身で、学校と職場はお隣の島根県だったことから、2県を行き来しながら過ごすことが中心の、ごく普通の生活を送っていました。そんな由貴さんに人生のターニングポイントが訪れます。職場の同僚に誘われて参加した海外の方々とのパーティー。海外の人と交流することもなかった由貴さんですが、不思議とすぐに打ち解けることができ、自分の視野が広がっていくような時間を過ごせたといいます。中には、フィリピンで子どもたちのために、ボランティアで家を建てた人もいたりと、今までの人生では出会ったことのない人々との出会いでした。
みなさんの話を聞きながら、管理栄養士だった由貴さんは、小さいころ母に言われた「世界ではごはんを食べられない子どももいるんだよ」という言葉を思い出します。
自分の目でもっといろいろなものを見てみたくなり、地元から一歩出てみることを決めました。そして由貴さんはJICAの青年海外協力隊として、エクアドルへと旅立ちました。



着飾るのが上手な「金沢」に魅せられて


2年のエクアドルでの活動を経て、日本に帰ってきた由貴さん。その後急展開が訪れます。人生のターニングポイントとなったパーティーで出会い、島根から石川へ移住し暮らしていた“人の縁”から、ここ石川に暮らし始めたのです。

2年のエクアドル生活の中で、新しい土地でたくさんの発見をしながら暮らすことの楽しさや、日本をもっと知りたいという思いが強くなっていました。そして、エクアドル滞在時に、いろいろなご縁から、金沢の話も聞いていたので、初めての土地、そして日本らしいと胸を膨らませてきた、ここ石川へ。
星いっぱいの珠洲、自然に囲まれた山中温泉、人情溢れる輪島の朝市、街灯の明かりに照らされた茶屋街など、初めての場所でも感じる懐かしさや温かさ。そして、感じた石川への想い。「石川って着飾るのが上手だな」。

にぎやかでおしゃれな町もあれば、一歩足を踏み入れると、奥ゆかしい。だけど、敷居が高くなく、自分たちの暮らしは守られていて、土地になじみやすい。
夜もすごくきれいで、特に夜の茶屋街が魅力的でした。
加賀には、温泉の渓谷の遊歩道やそこにおしゃれなカフェもある。ベースがあるけど、訪れてもらえるように、“着飾る”努力をきちんとしているという点にすごく魅力を感じたと由貴さんは言います。エクアドル帰りの由貴さんにとって、日本の古い町並みも暮らしもまさに「住みたいな」と思える場所だったと言い、暮らしを置くことを決めました。



住んでみて、また新たな人との出会いもあり、まさに充実した日々と話す由貴さん。金沢というところは、古さを活かしつつ、町は観光客などでにぎわっているけど、落ち着いていて疲れない。欲しい物はほどよく揃う、そんな住みやすさを感じています。24時間営業のスーパーや本屋さんなど、生活も本当に快適だと言います。

「人」「楽しい」の先に仕事がある


石川に暮らすことを決めた由貴さんが選んだ仕事は、金沢駅にある辻口博啓シェフのお土産店「ル・ミュゼ・ドゥ・アッシュ」。管理栄養士として働いてきた由貴さんは今まで経験していないサービス業を選択。サービス業は、自分が発信する側で、努力しないと前に進んでいかない職種だと感じています。外国の方を含め、たくさんの人との交流、英語を活かせる環境、食に携わる環境など、総合的に自分のスキルを活かしつつ、スキルを伸ばせると感じて、この仕事に決めました。実際に働きはじめた今、人と接する仕事の楽しさと難しさを感じながらも、金沢のことを知り、人に伝えるという仕事ができて楽しいと話してくれました。



遠い将来は、エクアドルで習得した「スペイン語」を活かした仕事に就くことも視野に入れています。1つのことを習得するだけで、一気に世界が広がった感覚がどうしても忘れられず、言語を活かした仕事をすることが目標だそう。

最後に、由貴さんが教えてくれた仕事観があります。それは、昔から日本人に多い「仕事があって、人生があって、家族がある」という順番での考え方ではなく、エクアドルで教えてもらった“働く”ということは「お金儲けのためにではなく、家族を養うため」ということ。家族のために働いていて、それにふさわしい仕事があって、望む人生になっている。そんな暮らしがしたいのだと話してくれました。

楽しく過ごして、それに良い仕事がついてくるといいな、という感覚。今まさに、石川という地を選び、暮らしから仕事を選んだ由貴さん。女性の社会進出というよりは、家族で支えるという感覚で働いている人が多いと感じる石川県、そして出身の鳥取県。そう、いつの時も「人」の温もりとともに、由貴さんは暮らしをしている、そう感じました。由貴さんが多くの「人」との出会いにより、どんな暮らしの旅という“人生”を過ごしていくのか、楽しみでなりません。
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