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空き家を再活用した移住者支援

地区の防犯対策がきっかけ


石川県七尾市で、移住希望者への住まい提供を中心に支援を行う「たかしな地区活性化協議会」。同地区にはこれまで7年間で、東京や大阪、神奈川、ニューヨークなどから男女10人が移り住みました。なぜ高階地区が「七尾の移住の里」とも呼ばれるまでになったのか、協議会の山本さんにお話を聞いてきました。

「きっかけは全国的な傾向として空き家が増えてきており、高階地区でも10年ほど前に防犯委員会が地域の空き家の調査行ったことでした。子どもが古い家で遊んでけがをしたり、不審者侵入や不審火などの危険を防ぐことなど安全性の確認が目的でした。」

調査の結果、約400軒の家屋のうち80軒近くが空き家で、これらの情報を防犯マップとして地域住民に配布を行ったそうです。

「防犯のために調査を行いましたが、少し手を加えればすぐに活用できそうな空き家も多いことに気がつきました。5年ほど前に今の『たかしな地区活性協議会』を組織されたことを機に空き家の利活用を考え、移住者の受け入れ支援を始めました。多くの方に協力してもらい、空き家調査では確認しなかった家の細かい状態も項目ごとにチェックしました。その中で、すぐにでも貸し出せそうな空き家については優先的に持ち主に交渉し、貸し出しの許可をもらいました。」

それでも空き家の持ち主は地区に住んでいない人が多く、親戚を頼りに連絡を取り、交渉を重ねるなど苦労も多かったそうです。




「ようこそ」の気持ちが大切


山本さんをはじめ多くの方の協力で、高階地区には7年間で10人が移り住みました。さらに2017年には、30年以上アメリカやオーストラリアで仕事をし、帰国後に七尾市の移住希望者ツアーに参加したことがきっかけで移り住んだ森本さんが農村カフェ「ろくでなし」をオープンしました。

「移住を受け入れるときに一番大事なことは、移住者を“よそ者”の目で見ないこと。『ようこそ』という気持ちで接し、迎え入れる気持ちが大切です。これまで案内した方のうち、半分くらいが実際に移住されてこられましたが、地区のサークル活動に参加するなど地域に溶け込もうとする意識が非常に高い方が多いと感じます。また地区のことについては分からないことだらけですので、そういった相談一つひとつに丁寧に寄り添い、アドバイスし、解決できる手助けが求められています。」

最初の移住者が決まったのは7年前。最初は移住者の受け入れに対して少なからず地元住民の抵抗を感じていたそうです。

「やはり見ず知らずの人が移り住む訳ですから、もともとの住民の方もすぐに受け入れられるものではありません。移住者の歓迎会や移住者同士の交流会の際は、必ず各町会長にも出席を促し、町会単位で少しずつ意識を変えてきました。今ではどの町会も移住者に対する意識は高く、さまざまな活動に理解をいただいています。」



移住者を通して、地区の良さを再確認


移住者との交流会を通して、地元住民の意識も変わってきたそうです。

「私たちはここで生まれ育ったので、この土地の良いところより買い物が不便だとか不満に思うところの方が話になることが多いです。しかし移住された方は、逆にそういったところが良いと言ってくれます。」

ニューヨーク暮らしから移住を決めたご夫婦は、七尾市内の県立美術館に行くために中学生に道を尋ねたら現地まで15分ほど歩いて案内してくれたそうで、七尾市の人柄の良さに惚れ込んで移住を決めたそうです。

「自分たちでは意識もしなかった、当たり前にあったものが良いと言ってくれます。そういった話を聞いているうちに、私たちの考え方も大きく変わってきましたね。」

現在は宿泊体験希望者の受け入れや、調査した物件情報をインターネットで閲覧できるデータベースを作成しているそうです。全国どこからでも高階地区の最新情報が得られるようになり、より一層、「七尾の移住の里」としての活躍が期待されます。

参考|「たかしな」 http://takashinacomcen.com
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