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奥能登に「来て」「食べて」もらおう

10年後の奥能登を考え、7人で始動


過疎化に悩む奥能登の未来を憂いて、1996年に有志の7人で結成された「春蘭の里実行委員会」。その代表を務める多田 喜一郎さんにお話をお伺いしました。
「お坊さんや電話会社、電力会社、林業や農業者など様々な仕事をしている有志7人が集まって、『春蘭の里』はスタートしました。最初は漠然と『10年経ったらこの地域はどうなるのか。なんとかせにゃならん』との思いから行動を起こしました。20年が経ち、現在では年間1万人を超える方に奥能登に来ていただき、その1、2割は外国の方々に来ていただけました。」
20年も前から将来を憂えて行動を起こした多田さん。手探りで始めた最初の案は成功とは程遠いものでした。



最大の魅力は奥能登を「体感」してもらうこと


「最初は地元の農産物から一億円産業を目指しましたが、全く売れず失敗しました。あらためて奥能登の魅力を考えた際に、四季折々の自然や食材、住んでいる古民家そのものが魅力だと気付き、民宿を始めたらどうかと考えたのです。今私がいるこの一軒からスタートして、20年経った今では47軒の方が『春蘭の里』を経営しています。中学校の修学旅行などでもご利用いただいていますよ。結果的に観光から移住につながった方もいらっしゃいますし、台湾から『春蘭の里』で働くために移住された方もいます。地域の再生の考え方は人それぞれですが、若者が増え、赤ん坊の泣き声が聞こえるような地域を作らなければ『地域の再生』ではないと私は考えています。」



私たちの普段の生活こそが財産


「何もない所にどうして1万人も人が来るのだろう。と思いませんか?この数字はきっと私たちが地域の特色を出して民宿を経営しているからだと思います。
外国の方が泊まられた際に通訳の方を通して聞いてみると『東京でもパリでもニューヨークでも、ホテルに泊まればどこも同じような部屋です。日本の伝統的な家や食事は都会ではあまり経験できません。』と、まさに奥能登の普段の生活体験を求めています。
また、日本人でも同様な要望があります。『観光名所をふた回りもすると特色のある地域に行ってみたいですし、スーパーでは手に入らないような野菜、川魚などを食べてみたいです。手作りの箸に輪島塗の器で食べるなんて、贅沢もしてみたいです。』と、私たちの普段の生活を体験しに訪れるのです。春蘭の里の料理には砂糖などの化学調味料を使用していません。イスラエルの方には特に喜ばれていますが、昔ながらの生活そのものが財産となり、年間1万人を超える人々が訪れてくれた理由なのだと思います。」



先発隊として行動していく


「都会から若者が帰ってくる農村を目指し、移住者の生計を立てられるように考えております。例えば民宿であれば教育旅行や団体の料金を9,500円に統一し、月の売り上げ目標が40万円になるように掲げています。春蘭の里は農家民宿として安くはないと思いますが、価格を下げて心がこもらなくなっては意味がないので安売りはせず、地域の人の満足のいく生活も重視しています。地域に住む人たちが生きがいと誇りを持って元気に生活していれば必ず宝物が見つかります。春蘭の里で、その宝探しのお手伝いができれば嬉しく思います。」
若者の声があふれる農村に再生しようとする『地域づくり』、移住者が十分な収入を確保して暮らしていける『仕事づくり』。20年前から種を蒔き続けた想いが、様々な芽を出してきたように思えました。


宿の敷地内に咲く、春蘭の花
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