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近江町から「金沢の魚食文化を伝承する、守っていく想い」を大切に

金沢の魚食文化と歩み続けて75年


石川県金沢市にある大口水産株式会社は、昔、大きな取引「大口」を扱うことからその名が社名につき、その名の通りに大きく成長し2018年に75期目を迎えました。従業員数は200名ほどで、年商は90億円弱という金沢で大手の鮮魚等の仲卸・小売を行う会社です。

今でこそ全国の魚屋さんで見られる『皿盛り文化』は、なんとここ大口水産から始まりました。
「叩き売りではなく、お客さんが分かりやすいように表示して販売する」
「安く売ってもいいが、高く売ってはいけない」
このように、昔から「お客様第一」に変わりはなく、現在に至ります。



「11-12月はカニのシーズンなので、店頭販売はすごいことになっている。オープンすると、たくさんのお客さんに訪れてもらって、もう大変なんです!」と嬉しい反面、大変な部分ももちろんあります。でも実際に店頭に伺うと、混雑・活気とともに、従業員の皆さんが楽しそうに働いている姿がとても印象的でした。
この店頭に並ぶ商品を見立てるのは早朝3時前の金沢市中央卸市場。まだ星も見える闇夜に煌々と光る灯の中、獲れたばかりの魚を囲んで活気に溢れたセリが始まります。この時期にしか扱われない香箱カニ、石川県の加能ガニなど様々な活きの良い魚を求め、せり人とせり帽を被った買い手との真剣勝負の取引が行われます。





「魚屋は、楽しい。こうやって目利きで仕入れた商品が店頭に並ぶ。お客様とコミュニケーションを取り、それが売れていく、この臨場感がたまらないんです。」と話すのは、早朝からとても優しい笑顔で迎え入れてくださった出口 力社長。

守るものと変わっていくことの相乗効果


出口さんは、2018年で大口水産勤続50年。大学を卒業後、半年間だけ大阪で働いていましたが、金沢にUターン。父親が大口水産株式会社に勤めていた縁で、戻ってからは大口水産で働くことになります。最初はもみじこ(たらこ)売場から始まり、食品スーパーなど業務用卸しなどの現場を長く経験し、多くのことを学び吸収し、十数年後に経営者の立場になりました。

今は従業員の皆に、
「従来通りの商売をしていてはダメ。変わってください。挑戦してください。」
と伝えています。

それは、長く勤めて、バブルからの変化をずっと感じているからこそ。
「当たり前に続いてきた食品スーパーがつぶれたり合併したりと、当たり前はもうないと感じています。そして、私たちは鮮魚のプロとして周りのスーパーや小売店に教えられることがたくさんあるのです。」
金沢の魚食文化を守っていくために、自分たちは多くのことを伝えられる「魚のプロ」という立場でいなければいけないと考えています。2017年からはお客さんを待つだけの店頭販売だけでなく、ネット販売を開始し紆余曲折しながらも拡大の一途を歩み続けています。
「北陸新幹線の開業により遠方からお越しくださるお客様も増えましたが、売場で購入してくれたお客さんが、再度ネット販売で購入してくれる。そのようなお客さんとつながるツールになっていることが嬉しい。」



「魚好き」の方、大口水産が心からお待ちしております!


地域や社員に想いを持ったこの会社でも、実は採用には大変苦戦されていました。
毎年数名程度の高校卒業者が入社。しかしながら、高校生の入社は少子化もあり絶対数が少なくなり激戦に。

「採用をどう拡大していけばいいか、最初は右も左も分からなかった」
と人事部門を担っている総務管理統括課長の佐良光広さん。

佐良さんは会社一丸となり、ここ2年で採用を大学生にまで拡大。インターンシップの受入を行い、「自分たちができない・気づけない面を大学生と共に考え、ともに会社を作ろう」という想いで、販促活動に協力してもらうなど、大学生と同じ目線で採用活動を歩んだ結果、来年度大学生が8名入社予定という成果が出ました。実は石川県が行う採強道場という、採用強化セミナーで学生さんの声を「聞く姿勢」が大事だということを学び、「一緒に歩む」というスタンスで、活動するようになった、とのことです。

このように社員と就職活動をする学生が出会う機会を増やし、お互いの声を聞きあうことで大口水産の未来が繋がれています。出口さんも、社長自ら近隣の大学との連携を強化する活動を援護しています。それでも、未来を描くには人手が足りない…「魚が好き」であればぜひ応募してほしいと佐良さん。





「いろいろな特技はあったらいいが、魚好きが一番」と出口さん。売るものに愛情を持てれば、お客様に対しても愛情も持てるという想いからでしょう。
出口さん自身も、幼少期から自宅でいわしのすり身を作っていたそうです。父親の影響から魚に触れる機会が多く、魚には愛情があります。大口水産株式会社は勤続年数の長い方が多く、働きやすい環境であることはうかがえますが、24時間休まない会社であることから、勤務時間は様々。

しかしながら、今は普通のサラリーマンと同じ時間帯の募集を強化しています。金沢の食の玄関口「近江町市場」の店舗は18時までとし、この時間帯での勤務者を特に募集しています。西念町の中央市場卸売部門は売上の大黒柱で、全国に発送している拠点。将来的には、こちらでの仕事や、新規加工場の研究・管理などの仕事もあります。「漁獲量は減ってはきていますが、単価はあがってきていて、昔と今の魚事情にも変化はある」など、様々な魚事情を学び吸収してほしいと考えています。

石川県民にとってはCMの印象も強い大口水産株式会社。多くの戦略を練りながら、どんどん海外にも拡大しています。
金沢の食の玄関口で、お客様に寄り添い、北陸三県ひいては日本・世界の魚食文化を守り、盛り上げ、支え続けています。

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