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“I love KTC.”自社ブランドを愛し、金属塑性加工のものづくりを極める

「金属塑性加工」を極める


削りでは難しい緻密な金属加工品を作る「鋳造(ちゅうぞう)」。業界トップの整備関係の工具を生産する「鍛造(たんぞう)」。そして2016年8月より、神戸工場から事業が移動してきた「板金(プレス加工)」。
「この3つの金属塑性加工ができる会社は、北陸ではめずらしく、全国的にみてもあまりないと思います。」と教えてくださったのは、北陸ケーティーシーツール株式会社(以下、北陸KTC)取締役・精密鋳造担当の吉野浩一さん。昭和55年からこの道を極める金属塑性加工における、ものづくりのスペシャリストです。

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吉野さんが担当している「鋳造」は中国から伝わり、紀元前に銅鏡や甲冑などを作っていたとされる「鋳込む(いこむ)」という歴史のある工法。鋳込むとは、溶かした金属を鋳型に流し込むことを言い、北陸KTCではロストワックス製法を採用しています。まず、ロウで工業部品などの金属加工品の原型を作ります。その後、砂を幾度となくつけて固めていき、ロウを抜くと、砂でできた型が完成するとのこと。「例えれば、エビフライの衣だけを残し、そこに金属を流し込めば、もともとのエビができるということ」と吉野さん。

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試作品作成に使用している3Dプリンターは2年前に導入。受注先の設計者が機能・形状・外観的な製品の試作検証をしてから量産に移りたいという意向を汲むことができるようになりました。このように時代とともに、現代の技術と調和しながら進化を遂げています。

時代とともに、働く環境も変化


北陸KTCは技術とともに、働き方も進化を遂げています。ハンドツールの業界ではトップクラスの京都機械工具株式会社(KTC)のグループ会社として、北陸KTCが、この地に創業したのは昭和45年。KTCの創業者が石川県の出身だったこと、当時の石川県知事が京都府の出身だったことから、2人は石川と京都に思い入れがありました。その思いを形にするべく、今会社がある羽咋工業団地に第1号として会社を誘致し、今年で48期目。もうすぐ50年という歴史のある会社となりました。

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創業当時は輸出が好調で、大量生産型の輸出の商品を作る目的で創業しましたが、オイルショックとともに、国内向けに切り替えて、今グループ全体で1万アイテムを超える製品を製造しています。
その後、10年前にグループ連結決算となり、設備投資も作業も徐々に改善されるようになりました。そんな中、リーマンショック。それまで毎年採用していましたが、この時に従業員の構成が大きく変わりました。スキル面では一時停滞し大変な時期もありましたが、今では従業員の構成が低年齢のため、将来的には希望のある会社となりました。

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そんな会社の時代の歩みを見てきた吉野さんと、昭和57年入社の取締役・工具部担当の池田浩明さんは「働く環境は随分と良くなりました。ようやく製造現場にエアコンが昨年入りました。昔は本当に環境面で厳しい会社だったと思います。」と振り返ります。来年には女性の新入社員を2人迎え、適材適所で必要な部署に入って働いてもらう予定だそうです。これも働く環境が改善してきた証拠だと言えます。

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2人が長く働き続けた「ものづくり」と会社への想い


技術と働き方の変化など、会社の歴史とともに約30年以上歩んできた2人。そんな2人のプロフェッショナルが思うこの会社のやりがいは、「ものづくりは、自己満足の世界だと思っています。悪いものを作って褒められることはない。人よりも良いものを作った時に達成感があります。これが長く続いた理由です。」と吉野さん。池田さんは「毎日にやりがいがあります。今でも経営を日々勉強しています。鋳造に17年いましたが、ものができた時には何とも言えない達成感がありました。」と話してくれました。

今でも創業時の1期生が顧問として関わっており、絆でもつながっている会社。「北陸KTCはグループ会社の中で、みんなで協力して、ものづくりを極める必要があると思っています」と、2人の想いを教えてくれました。この言葉通り、創業当時の方々と若い人の技術で、ものづくりを極め続けています。鋳造で、3Dプリンターとロストワックス製法を採用しているのは、先進的な技術で類を見ません。北陸KTCでは、今このような技術を支えてくれる人、そして将来を背負って、総合的に判断できる人材を求めています。

「石川県の魅力は人。私は、石川人のずけずけと前に出ず、一歩引く感じが好きなんです。」という吉野さんの言葉通り、2人ともすごく穏やかで、内から秘める会社への想いに溢れていました。会社のスローガン「I love KTC.」の精神で、自社ブランドを愛して、ブランド力を高めていく。そんな想いを強く感じた私には、ハンドツールの銀色の工具箱に刻印された「KTC」の文字が、きらりと誇らしげに光っているように見えました。

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