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加賀市に広がる巨大産地だからこその匠「奥谷(おくのや)梨生産組合」

きれいに区画整備された梨の産地


加賀市奥谷町は石川県で有名な梨の産地で加賀梨として人気があります。2017年石川県のオリジナル品種「加賀しずく」は、梨6個で10万円の値がつくほどのブランドとして私たちに驚きを与えました。そんな加賀梨を45年ほど前から育てている「奥谷」があります。ここは戦後、国の事業で山を崩してつくられたもので、高台から眺めるときれいに区画整備されている様子がわかります。



昔は14~18名ほどの梨農家でしたが、今では24名程が1万5千本の梨を育てています。1軒あたりの面積は約1.3haとなり梨農家としては大きな面積とのこと。出荷は共選共販を採用していて梨を収獲したのち選果場に運び選果場で出荷作業をしています。「共同だからこそ負担も少なく、新規就農者には助かることが多いと思う」と話してくれたのは、奥谷梨生産組合の組合長 田中忍さん。

みんなで作り上げていく組合







45年間、梨団地の面積を維持するために、積極的に新規就農者を受け入れてきたこの地に、今年も2名の新規の方が入りました。「ここの新規の良いところは、梨の売り先を自分で探す必要がないこと、農薬も少なく行っているが共同で防虫作業をすること、初期投資が少ないことの3点だと思う」と田中さん。すぐ隣に梨農家さんがたくさんいるので、いつでも話を聞けるのはすごくありがたい環境だと思います。ただし梨の作業は、1年作業。葉が散ってから、来年梨をどれだけならすかの剪定作業。花が咲くまでに、梨の実が風などに吹かれて傷がつかないように「梨棚」に枝をしっかり固定させます。その後、ミツバチなどの力を借りて自然交配し、摘果して品質をあげていき、そして選果場から出荷へ。販路は、関西が7割を占めるのだそう。



こうして昔より皆で支え合いながら、1つ1つのことを解決して45年の歴史を積み重ねてきたのでしょう。2016年には全国ナシ研究大会も石川県で行われ、田中さんも「個性を生かした産地振興」をテーマに事例を発表されました。また皇太子殿下と雅子さまが視察に訪れたこともあり、昔から日本の最先端事例として注目されてきた証でしょう。「皆で力を合わせて」という言葉がふさわしいそんな産地です。



田中さんに梨農家の魅力を伺う


組合長の田中さんは、もともと都会で電気メーカーの会社に設計として勤務していたサラリーマン。「昔からものづくりが好きなことに変わりはない」と言いますが、35歳に退職し、実家の梨農家を継ぎました。「どこの梨を食べても自分のところで作った梨がおいしかった。継続できればいいのではないか?」そう思ったと言います。「サラリーマンと違うのは、自分の好きなようにできることと身体をよく使うこと。そして、便利すぎずに季節を感じられることが魅力。」と教えてくださいました。しかし、反対も然り。全て自分次第だからこその難しさももちろんあると思いますが、だからこそ組合メンバーが近くにいてくれる安心感があるのではないでしょうか?



「梨ができた時よりも、梨づくりの過程が楽しい」と語る田中さん。奥谷では、8月上旬の愛甘水という品種から始まり、甘くてみずみずしい「幸水」、酸味が加わりよりみずみずしい「豊水」、大玉の「秋月」、10月収穫の「新高」と長く消費者にも楽しんでもらえるように梨づくりに全力投球で頑張っておられます。豊水をいただきましたが、梨の水分がしたたり落ちて溢れんばかりのおいしさでした。

最後に、梨の保存について伺ったところ、食べる前日に冷やすのがおすすめとのこと。冷たさを感じる方が甘さは感じるようです。また硬めの梨の方が良い品のようなので、梨の時期にはぜひチェックしてくださいね。おいしい加賀梨を堪能し、ぜひ24名の農家さんの想いを感じてみてください。
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