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農業で日本の未来を明るくする

田んぼの中の「むっつぼし誕生」



米作り

“コメコミュニケーション”と掲げた黄色い看板の「むっつぼし松任本店」は石川県白山市にある創業39年の株式会社六星。栽培→加工→販売を手掛けたことで注目を浴びている先駆的な農業の会社です。昭和52年これまで家族経営中心で行われてきた農業を経営規模の拡大による生産力の向上のために、5家族の農家が集まって1つの組合をつくるという、当時では画期的な方法で設立されました。会社組織にしたことで、従業員のために農閑期にも収入を確保するために考えだされたのが餅の加工品づくり。もち米をつくり、餅をつき、かきもちをつくるための加工場を建設し、自社販売にも挑戦しました。当時『加賀百万石展』が全国各地で開催され、そこの物産展会場で加工品を販売し、また百貨店では常設コーナーを置くことができるようになりました。その後こだわりのスーパーからも声がかかるようになり販路を拡大してきました。

株式会社六星は現在では、近隣の農家から農地を請け負った約150ヘクタールある田んぼで米を作っており、主な生産物はコシヒカリやもち米(白山もち)です。売上の半分は百貨店、スーパーでのお米、餅の販売。それ以外に和菓子や弁当、総菜を製造し直売店で販売。また、直売店用の野菜も作っています。平成元年に有限会社となり、若手社員を数多く採用し事業規模を拡大していきます。田んぼ100ヘクタール分が乾燥できるライスセンターの設立、新加工場及び直売店(現むっつぼし松任本店)の移転・新築等事業拡大に向けての取組みが着々と進められました。そして、平成9年に現社長の軽部英俊さんが入社しました。

「六星」を創業者たちから受け継ぐ



六星さんの米

開口一番「うちの主力は米です」と力強く言われたことが印象的だった軽部さんは東京の町田市出身で、今でいうIターンのひとりです。以前は建材メーカーの営業マンで、ゼネコン相手に営業活動し満員電車に揺られながらも仕事一筋で充実した生活をしていましたが、2人目の子どもが生まれ、生活環境が良くないかな…と感じていた時、六星の創設者のメンバーの1人である義父に、販売強化をするために六星で一緒にやってほしいと強く要望されたことがきっかけで白山市に家族で移住することを決めたのです。
「農業に関する知識は全くなかった。イメージすらできなかったし、それがかえって良かった。よくもわるくともゼロ、家族の生活を重視しました」と軽部さん。実際入社してこれまでとの仕事のリズムが合わないことや、有限会社とはいえ会社組織として機能していなかったことなど様々な問題に直面し、現場を的確に把握した上で会社の仕組みをつくることの重要性を痛感したそうです。
「創設者のメンバーの方々のバイタリティ、揺るぎない自信は本当に尊敬しています。私に経営を任せるといわれてからは、本当に経営を任せてもらっています。でも目に見えないところでフォローしてもらっており、本当に感謝しています。自分に任せてもらえたのでこれまで必死でやってきました。会社の経営で一番重要なことは人なんです。人で勝負するんです。経営は常にジャッジです!設備投資をするかしないのか、また人材登用においても同様です。今までの経験知に裏打ちされた自分の感性が重要なんです。元々勘はいい方と思っていますが、でもそんなに野心家ではないですね。偉くなりたいという思いはないです」と、照れながら話す軽部さん。

平成19年には株式会社六星を設立します。軽部さんの戦略の中で重要な点は、外部のプロを活用すること。米、加工品を全国ブランドにするときには品質管理の弱さを補うために衛生管理のスペシャリストの助言を受けながら商品をつくりました。そして店舗販売には販売のコンサルタントを、パッケージはデザイナーに企画してもらうなど、外部のプロを活用したことでブランド力アップを早期に実現することができました。現在は国内で最も品質管理の厳しいと言われている都内の百貨店と取引しています。

農業を客観視し、業界自体を変えていきたい



石川田植えの風景

能登の農業

白山市の住宅街の田んぼでちょうど田植えの真最中。大きなトラクターでスピーディーに田植え作業をしています。大変な作業ですが、ここでは“体育会系の雰囲気”で若い人たちが楽しくやっています。1人ではくじけることもありますが、ここでは仲間と支え合って作業をやっていることで連帯感が生まれ、また生産性もあがっている。これは加工場でも同様です。株式会社六星では「第一に体力があること、第二に新しいアイデアやチャレンジ精神をもっていること、第三に固定観念にとらわれない人」と一緒に働きたい。まだまだ未完成で、可能性のある「農業」だからこそ未経験で固定観念のない異業種からの人材が欲しいそうです。また会社経営においては、各セクションにマネジメントのできる人材を配置しており、農業栽培の専門家だけでなくマネジメント能力のある人材を育てていくことが重要と軽部さんは考えています。

「これまでは六星の経営の安定だけを目指してきたが、これからはそれに加えて農業界全体の底上げにも力を注ぎたい。農業は本当の意味でまだ産業とよべるようなものになってないので、自分たちがもっと成長、発展し引っ張っていくことが使命だと思っています」その軽部さんの力強い言葉に、産業としての農業の明るい将来を感じさせるものがありました。

石川の農業の未来

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